いつもありがとうございます。
訳あって更新が遅れておりました。
坂城運輸株式会社でございます。
昨日SNSでこんな投稿を見ました。
『涼しくなってって言ったの! 寒くなってなんて言ってないの!』
上手いこと言う方がいますよね。
多分に漏れず、というより長野県は他の地域よりもそれが顕著かと思います。
作業員たちは空調ベストから直で冬制服になってしまった印象です。

さて、坂城運輸では今月も例の重量道場が開催されました。
今月のテーマは『アンカー施工の手順について』


アンカーって何?とお思いの方もいらっしゃるでしょうか。
アンカーボルト。
ホームセンターなどにも実はあります。
DIYなどされる方はビスやナット、ネジなどのコーナーで
見かけたことがあるかもしれません。
これどうやって何に使うのかな、なんて思っていませんでしたか?
簡潔に言うと床や天井、壁などにモノを固定する際に
『しっかり・がっちり固定』するための道具です。
差込んだ筒状のものが中でラッパ状に広がり抜けなくなる、というイメージです。
工業機械はそもそもその自重によって動くことは無いことから
マウント(機械の土台・足のようなもの)に乗っているだけ、という場合が多いですが
機械の種類によっては、その稼働時の振動に耐えるために
アンカー施工が必須になることも多いのです。
もうどんなに機械が揺れても動かないように
既存の床(コンクリート基礎など)に孔(あな)をあけて
ボルトによって機械を固定しておくためのもの、とイメージしてください。
様々なタイプがあり強度も施工方法もそれぞれです。
今日習うのは坂城運輸の現場で使う事の多い
【グリップアンカー(金属系・本体打ち込み式)】
【オールアンカー(金属系・芯棒打ち込み式)】
【ケミカルアンカー(接着系・回転/打撃式)】
の3種類。
何だか字面だけでカッコいいですよね。
まずはグリップアンカーから。

重量課課長の解説の元
【あと施工アンカー施工士】有資格の熟練職人Oさんの実演です。
どのタイプのアンカーも、まず最初に施工場所を決めて
アンカードリルで孔をあけます。

グリップアンカーは開ける孔の深さが肝になります。
浅すぎても深すぎてもだめ。
『ここまで』という印をドリルピッドに付けておきます。
差込むアンカーで測っておくのですね。



↑ 開けた孔にアンカーを差込む。

↑ そして打ち込む。
この打ち込みよってアンカーの先が孔内で広がるのですね。

綺麗です。
決めたポイントからドリルの中心がずれることなく
尚且つ真直ぐに孔を開けていくのにも知識や経験、コツが必要です。
共同作業者がいる場合は連携することも必要。
先輩たちの教えてくれる『コツ』の数々は
なるほどそうか、という貴重なものばかりです。
手順をひとつずつ説明していくと
ただのアンカー施工マニュアルになってしまいそうなので
割愛しますが。
さてさて。
【やってみせ】【言って聞かせて】のあとは
【させてみて】です。
若手たちが順に挑戦していきますよ。



先輩たちの『上手いなぁ』と思うのは
上手くできない部分を残しておく指導、と言うのですかね。
や。上手く言えてないですね。
失敗を経験させてくれる指導、というのか。
その匙加減。
『何がいけなかったのか』
『何を注意しておけば上手くいったのか』
を本人に考えさせる余白がちゃんとある。
で、倉庫の床にガンガン構わず孔を開けてしまうワイルドさを併せ持つ。
しかもこれ倉庫の隅っことかではなくて入口の一番いいとこですよ?
続いてはオールアンカー。

オールアンカーは孔が深くなってしまっても
ワッシャーとナットで上下位置を調整できるので
失敗率は低めです。

お判りですかね。
左のアンカーはまだ孔に差し込んで深さを調整しただけ。
中央の芯棒を右のアンカーのように打ち込むことで
中で広がって固定されます。
写真では分かりずらいですが
最終的にボルトのらせん状の溝が2~3周分ナットの上に
出ているのが理想なのだそう。
理由を聞こうとしたら被せ気味に
『見た目!』とのこと。
なるほど。
プロがする仕事。
結果固定されていればよし、ではない。
仕事の速さ、仕上がりの美しさという
付加価値をつけることも仕事なのですよね。
そして最後はケミカルアンカー。

ケミカルという名前の通り
開けた孔に差し込むのは
試験管のようなカプセル状の筒。
中には化学反応で凝固する薬品が入っています。
そのカプセルをボルトによって打ち破って、孔内を薬品で満たして
凝固させてしまうのですね。

薬品が溢れてきているのが見えるかと思います。
最後に
■実際の現場はもっと狭いこと
■傷つけてはいけない機械がすぐそばにあるということ
■床下に鉄筋が走っていて、思うように打ち込めないことがあること
■ドリルピッドが例えば鉄筋などに引っ掛かって
ドリル本体が回転してしまう場合の危険 (腕を持っていかれるなど)
などを教わり
『あとはもう数こなして、たくさん失敗して覚えるだわ』
という言葉で締められました。
いつか言いたい憧れの台詞です。

今回の道場も若手たちには貴重な体験でした。
でも。
次の現場でもアンカー施工を実際にやるのは
先輩たちかもしれない。
ただ、今回実際に手順を知って、更に一度自分が体験しているだけで
今後、先輩の施工を見るその『見方の質』がきっと違いますよね。
もしかしたら
『僕にやらせてください』と踏み出す勇気にもなるかもしれません。
今日習ったこと体験したことを日々に任せて忘れていくのか
反芻して反芻して反芻し続けて、現場でのチャンスを狙うのか。
そこはもう受け取る側次第と思います。
若手のみなさん
今日の道場の様子はほぼ全編
動画に記録してありますよ。
保存しておきますからね。
ではまた、次の記事でお会いしましょう。
本日もご安全に。
お風邪などひきませんよう。

あ。
気になる方は気になっていたかもしれない。
倉庫の入口にオールアンカーやケミカルアンカー打ちつけちゃって。
ええ。私も撮影しながら思ってましたよ。
どうするんだろう。
どうしたんでしょう。
その答えは

ぶったぎる。
ワイルドだろー?